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診断支援ソフトウェアの市場予測

2013/12/25

◆ 薬事法改正で、単体で流通が可能となる医療用ソフトウェアは、
  →2015年以降急速に伸長し、2020年には175億円と予想
  →中心となるのは、マンモグラフィCADのソフトウェア
◆ 診断支援ソフトウエア製品全体の市場規模は、2020年時点で約770億円と予想

市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都文京区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)は、診断支援ソフトウエアの現状と今後の方向性に関する調査を実施し、このほど、その結果をまとめました。

2013年11月20日、薬事法改正案が国会で成立し、早ければ2014年秋頃より新法制が施行される見込みです。新法制下では、従来の医療機器規制のハードルが下がることが期待されますが、それに加えて大きな注目を集めているのがプログラム(ソフトウェア)の医療機器化です。

これまで、医療機器として常にハードウェアとの一体化が必要であった医療用ソフトウェアが、今後は単独で市場を形成し、多様な臨床アプリケーションの創出が期待されます。CT、MRI、超音波、PETなどの検査において画像データを解析し、診断を支援するソフトウェアが主力となりますが、アメリカではIBMの「考えるコンピューター」ワトソンの医療分野での商用化が進められるなど、より踏み込んだ領域で診断支援を行うソフトウェアも期待されています。さらに、医療機器と組み合わせて使用するモバイルメディカルアプリの登場など、医療用ソフトウェアの枠組み自体が大きな転換点を迎えています。

本調査では、国内および海外で販売もしくは開発中のソフトウェア組み込み機器と、ソフトウェア規制の枠組みについて情報を整理し、今後の医療用ソフトウェア市場規模を予測しました。

なお、本調査結果の詳細は、調査研究レポート「診断支援ソフトウェアの現状と今後の方向性 −薬事法改正で広がる単体ソフトウェア、モバイルメディカルアプリ市場− 」 (価格:120,000円+消費税、2013年12月16日発刊)として販売しております。

調査結果のポイントは以下の通りです。

調査結果のポイント

◆ 薬事法改正で、単体で流通が可能となる医療用ソフトウェアは、
  →2015年以降急速に伸長し、2020年には175億円と予想
  →中心となるのは、マンモグラフィCADのソフトウェア
◆ 診断支援ソフトウエア製品全体の市場規模は、2020年時点で約770億円と予想


診断支援ソフトウェアとは

  • 本調査では、「診断支援ソフトウェア」を広義の意味において、「医療機器で取得した患者の画像データを定量的に解析し、医師の最終診断をサポートするソフトウェアで、ワークステーションやモバイル端末などの汎用ハードウェアにインストールされて使用されるもの」と定義する。
  • 類似する用語としてコンピュータ診断支援(Computer Aided Detection/Diagnosis、以下、CAD)があるが、本調査で定義する診断支援ソフトウェアはこれを内包する。
  • また、単体のソフトウェアのうち、汎用PC にインストールされて使用されるものを「PC 用単体ソフトウェア」と定義し、モバイル端末にインストールされて使用される「モバイル・メディカル・アプリケーション」と区別する。
  • これまでの薬事法では、ソフトウェアは「単体」で医療機器として認められておらず、診断(読影)用に使用できるソフトウェアは、各種モダリティやワークステーション等の「ハードウェアに組み込まれたもの」に限られていた。
  • 従来の薬事法におけるソフトウェアの扱い(ハード・ソフト一体型)では、
     イ) 臨床の医師が薬事品の使用を敬遠する
     ロ) 日々進化する最新のソフトウェア機能が追加できず、機器の機能が陳腐化する
     ハ) 企業側の製造コスト、病院側の導入・更新コストがかさむ
     ニ) 薬事・非薬事があいまいな領域(グレイ領域)を発生させている
    といった点が問題になっており、薬事法改正後のソフトウェア薬事がこれらのブレイクスルーとして期待される。
  • 2013 年11 月20 日に成立した改正薬事法では、これまで医療機器に組み込まれた形で扱われてきた医療用ソフトウェア(プログラム)が単体で流通可能となる。また、新法制の施行(2014 年秋 以降)とほぼ同時期に、IEC62304(医療機器ソフトウェアのライフサイクルプロセス規格)、ISO13485/QMS 省令(品質マネジメント規格)、ISO14971(リスクマネジメント規格)等の国際標準規格をベースとした医療用ソフトウェアに関するガイドライン策定が見込まれている。

非医療機器の診断ソフトウエアの扱い

  • 薬事認可を受けていない非医療機器として、「単体」で流通している診断支援ソフトウェアが存在するが、本調査では、これら薬事・非薬事の違いに関わらず、今後単体で流通する可能性のある診断支援ソフトウェアは調査対象とした。

薬事法改正で、単体で流通が可能となる医療用ソフトウェアは、2015年以降急速に伸長し、2020年には175億円と予想。中心となるのは、マンモグラフィCADのソフトウェア。

  • 薬事法改正で、単体で流通が可能となる医療用ソフトウェアの市場は、2015 年以降に急速に伸長し、2020 年にソフトウェア累計約7000 ライセンス、約175 億円規模の市場になると予測する。
  • 画像診断支援ソフトウェアが中心になると思われ、中でも、マンモグラフィCAD のソフトウェア単体製品の売上が中心になると思われる。
  • 2015 年以降のソフトウェア単体製品の流通にともない、既存の画像診断用WSやPACSへの導入が急速に進むと予想される。2020 年時点でCAD ソフトウェア単体製品の売上は全体売り上げの4割になると予測。
  • 従来のWS 一体型のCAD 製品(標準価格1,200 万円〜2,000 万円程度)に比べ、ソフトウェア単体としてのCAD 製品は低価格化するが、その半面、既存の画像診断用WS やPACS への低コストな導入によって、市場は堅調に拡大すると予想される。
  • その他としては、仮想内視鏡、マルチデータフュージョン、肺気腫・内脂肪計測等、現在の3D-WSに搭載(あるいはオプション搭載)されているような、診療特化型のソフトウェアの売上が伸長すると予測する。
診断支援ソフトウェア単体製品の市場予測

診断支援ソフトウエア製品全体の市場規模は、2020年時点で約770億円と予想

  • 診断支援ソフトウエア製品全体(PACS、3D-WS、単体で流通が可能となる医療用ソフトウェア、モバイル用ソフトウエア、その他CADソフトなど)の市場は2020年時点で約770億円と予想する。
  • 診断支援ソフトウェアの中心となるのは、従来の3D-WS やPACS、CAD といった画像診断支援WS に組み込まれているような、CT/MRI/PET/SPECT 等の高次元画像解析ソフトウェア。
  • 従来の一体型WS 市場は縮小傾向にあり、2020 年時点の3D-WS、PACS を合わせた市場は約600億円、一方の単体ソフトウェア市場は2020 年時点で約175 億円規模に成長すると予測した。
診断支援ソフトウェア製品全体の市場予測

調査概要

■ 調査項目
• 診断支援ソフトウェアの定義と分類
• 診断支援ソフトウェア製品の現状、課題点
• 現行薬事法における医療用ソフトウェアの扱い
• 改正薬事法における医療用ソフトウェアの扱い
• 薬事法改正に伴う今後のソフトウェア規制動向
• 診断支援ソフトウェア製品の市場規模予測
■ 調査対象
厚生労働省、経済産業省、PMDA、JIRA、日本IBM、NTTデータ、富士フイルム、
富士フィルムメディカル、シーメンス・ジャパン、GEヘルスケア・ジャパン、
フィリップス エレクトロニクス ジャパン、テラリコン・インコーポレイテッド、
AZE、ザイオソフト、サイバネットシステム、横河医療ソリューションズ、イメージワン、
東芝メディカルシステムズ、島津製作所、コニカミノルタヘルスケア、日立メディコ、
クライムメディカルシステムズ、スリーゼット、キヤノンライフケアソリューションズ、
Pixmemo、ニュートン・グラフィックス、Object Research Systems、
アイプランツ・システムズ、レキシー、ビットストロング、リジット、日本バイナリー、
ビジュアルテクノロジー、東京大学医科学研究所、等
■ 調査手法
各種公開情報の収集、訪問によるヒアリング調査
■ 調査時期
2013年5月〜2013年11月
本件に関するお問合せ先
株式会社シード・プランニング
〒113-0034
東京都文京区湯島3-19-11 湯島ファーストビル 4F
TEL : 03-3835-9211(代) / FAX : 03-3831-0495
E-mail : info@seedplanning.co.jp
担当 : 戸澗(とま)