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ワイヤレス給電の最新動向と将来展望

2012/03/30

◆ 国内の方式別参入状況は、「電磁誘導方式」30社、「磁界共鳴方式」20社、
  「電界結合方式」3社、「電波受信方式」1社。
◆ 注目4分野の市場規模は、2011年で49億円(推定)、2020年には1,865億円と予測。

市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都文京区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)は、ワイヤレス給電の最新動向と将来展望に関する調査を実施し、このほど、その結果をまとめました。

総務省は、わが国の成長戦略に基づき、将来50兆円を超える新市場を創造するため、「電波新産業創出プロジェクト」を策定しています。その中の家庭内ワイヤレスプロジェクトでは、ワイヤレス給電技術を活用した新市場の創造が期待されており、総務省は2020年に、ワイヤレス給電家電の世帯普及率を80%にする目標も示しています。そのため2009年に「ブロードバンドワイヤレスフォーラム」が設立され、新たな技術の研究開発、早期実用化、国際展開などの取り組みを強めています。また、ワイヤレス給電を推進するワーキンググループが設置され、普及拡大に向けた積極的な活動を展開しています。

これまで、ワイヤレス給電は、標準化が進んでいませんでしたが、標準化団体WPCによって、2010年7月にスマートフォンなどの出力5W以下の機器向けに、初の電磁誘導方式の標準規格「Qi」が策定されました。そのため、2011年にはモバイル機器向け商品が一気に増加し、2012年には一層の普及が見込まれます。 一方、ワイヤレス給電に期待される応用市場は、モバイル機器分野だけではありません。家庭の家電機器や医療・ヘルスケア機器などに加え、磁界共鳴方式などの新技術の進展によって、EV充電での応用に向けた開発競争が活発化するなど、ワイヤレス給電を活用したビジネスチャンス拡大の可能性に注力度が高まってきています。

当調査は、磁界共鳴方式などの新しいワイヤレス給電技術も含め、最新動向を整理するとともに、家電機器やEV充電機器などにおける実用の可能性や需要性の検討をおこない、今後のワイヤレス給電機器ビジネスの創造に向けた方向性を整理し、有望分野の市場規模を予測しました。

なお、本調査結果の詳細は、調査研究レポート「モバイル・EV時代のワイヤレス給電の最新動向と将来展望」(価格:160,000円+消費税、2012年3月26日発刊)として販売しております。

調査結果のポイントは以下の通りです。

調査結果のポイント

◆ 国内の方式別参入状況は、「電磁誘導方式」約30社、「磁界共鳴方式」約20社、
  「電界結合方式」3社、「電波受信方式」1社。

ワイヤレス給電技術には主要なものとして以下の4方式があり、参入状況は次のとおりである。

①電磁誘導方式
小電力(50W以下)から大電力(1kW以上)までの幅広い伝送電力に対応できる。国内ではソニーのFeliCa(1995年)、パナソニック電工(当時松下電工)の電気シェーバーなどが商品化されて以降、多くの企業が参入した。2010年7月にQi規格が策定され、市販市場が開かれたことにより、Qi規格に対応する企業は、日立マクセル、パナソニック、三洋電機など30社を超え(既存の独自規格で参入している企業は含めない)、さらに参入企業は増加傾向にある。

②磁界共鳴方式
数m程度までの中距離伝送が可能で、デバイス間に位置決め自由度が高く、同時に複数の給電が可能であるが、伝送効率は電磁誘導方式ほど高くなく、設計が複雑となる。
2009年以降、EV給電向けで注目され新規参入企業や電磁誘導方式と並行して研究開発をすすめている企業が、東芝、ソニー、TDK、トヨタ自動車、三菱自動車工業など約20社ある。

③電界結合方式
近距離伝送、小電力では送受電デバイス間の位置決め自由度が水平方向で高い。2011年11月にタブレット向けに商品化が行われた。主要参入企業は、村田製作所、竹中工務店、ロームの3社。

④電波受信方式
長距離伝送で、同時に複数のデバイスに電力伝送が可能。人体安全防護上の規制があり、伝送電力は微小にとどまる。RFIDから宇宙太陽発電(SSPS)までその応用分野は広く、多くの機関や企業が研究を行っている。レクテナで日本電業工作が参入している。

◆ 注目4分野の市場規模は、2011年で49億円(推定)、2020年には1,865億円と予測。

本調査では、「スマートフォン」「タブレット端末」「薄型テレビ」「EV/PHEV」をワイヤレス給電の注目分野と定め、市場予測を行った。
送電機器と受電機器は通常1対1で利用されるものであるが、標準化されたワイヤレス給電機器が普及することで、1対Nの利用も広がると想定されるが、本予測では送受信機器1対で算出している。

2011年度ではスマートフォントタブレット端末の2分野合計で49億円と推定される。スマートフォンとタブレット端末市場は急速に拡大し、2013年度に薄型テレビ、2015年度にEV/PHEV市場が立ち上がり、2015年度には2011年度比798%の391億円となり、2020年度には2015年度比で約477%の1,865億円規模に成長するものと予測される。

注目4分野のワイヤレス給電市場予測

調査概要

調査対象
ワイヤレス給電モジュール・システムメーカ、応用製品メーカ、関連業界団体など(16社以上)
調査項目
ワイヤレス給電方式の概要と特徴
技術開発動向
ワイヤレス給電業界動向
ワイヤレス給電商品化動向
最新市場動向
今後の課題と展望
有望市場における市場規模予測(2011年度〜2020年度)
主要プレーヤー動向
  (会社概要、参入経緯、開発方式、開発・事業化動向、開発体制、商品化動向、今後の方向性、ほか)
調査期間
2011年11月〜2012年3月
本件に関するお問合せ先
株式会社シード・プランニング
〒113-0034
東京都文京区湯島3-19-11 湯島ファーストビル 4F
TEL : 03-3835-9211(代) / FAX : 03-3831-0495
E-mail : info@seedplanning.co.jp
担当 : 廣岡(ひろおか)