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シード・プランニング、アップルとライバル企業の戦略を調査分析

2008/12/26

アップルは音楽配信ビジネスの成功を受け「iPhone」「Apple TV」へと横展開
アップルの製品・サービス5分野(*)で対抗しているのはソニーとマイクロソフト
携帯プレーヤーはアップルとソニーの2強体制が確立。音楽配信はレーベルゲートが携帯キャリアと提携しアップル包囲網を構築中

(*) 5分野・・・iPhone/携帯プレーヤー/音楽・動画配信サービス/パソコン/TVを中心とするAV機器

市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都台東区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)は、アップルとライバル企業の分野別戦略と市場動向を調査し、このほど、その結果をまとめました。

アップルは2008年7月、全世界で「iPhone 3G」を発売しました。日本ではソフトバンクと提携し、ソフトバンクのスマートフォンとして発売し、携帯プレーヤーから携帯電話に本格的に進出しました。この間、パソコンのMacのシェアも徐々に回復、ますますアップルの存在感は増大してきました。
このような背景の下、本調査ではアップルの戦略と対抗する企業の対応を、5分野別(iPhone/携帯プレーヤー/音楽・動画配信サービス/パソコン/TVを中心とするAV機器)に、業界動向・商品動向・市場規模動向・将来展望などを調査分析いたしました。

なお、調査結果の詳細は「2009年版 アップルとライバル企業の分野別戦略と市場動向」(2008年12月18日発刊)として販売しております。

本調査の結果のポイントは以下の通りです。

アップルは音楽配信ビジネスの成功を受け「iPhone」「Apple TV」へと横展開

アップルは2001年11月の初代「iPod」と音楽配信関連ビジネスの成功を受けて、2005年10月に「iTunes Store」で映像配信を開始し、2007年3月「Apple TV」を発売。さらに「iPod」のノウハウを生かせる携帯プレーヤー搭載スマートフォン「iPhone」を2007年6月に発売するなど横方向にビジネスを広げた。

「iPhone 3G」は世界同様日本でも販売好調、シェアは日本の方が高い

【図1】Appleのシェア:スマートフォン(2008年見込み)

「iPhone 3G」は携帯プレーヤーに通話機能を持たせた製品。それまではビジネス向けであったスマートフォンの個人需要を掘り起こし、発売3カ月で世界で690万台を販売するヒット商品になった。
2008年後半から2009年にかけて、日本のすべての携帯電話キャリアがスマートフォンの新製品を投入する。KDDIやドコモは発売と同時にスマートフォン向けの音楽配信をスタートさせることが予想され、「iPhone 3G」同様のデザイン、機能、サービスで追従しようとしている。
2008年の「iPhone 3G」国内販売台数は30万台と見込まれ、2008年のスマートフォンに占めるアップルのシェアは日本の方が世界のシェアより若干高くなると予測される。

「Apple TV」は米国で動画コンテンツ集めに成功、米国で先行させる戦略

「Apple TV」は、「iTunes Store」からダウンロードした劇場用映画やTV番組を家庭用のテレビで視聴するためのIPTVサービス。
アップルは2008年1月、劇場用映画をレンタルする「iTunes Movie Rentals」をスタート、ハリウッドのメジャースタジオの劇場用映画を網羅した。また、2008年10月から、CBS/Fox/ABC/NBCのTV番組をHD画質で提供開始している。いずれも米国のみでの提供であり、日本ではミュージックビデオぐらいしか提供されていない。アップルは米国での成功を先行させ、その成果を持って日本などの世界各地で展開する戦略を採用している。

国内ではNTTやKDDI、Yahoo!BB、家電メーカー5社で設立した「アクトビラ」などがIPTVサービスを行っている。特に家電5社の特定のテレビには最初から「アクトビラ」の受信機器が組み込まれており、インターネットに接続する環境があれば購入と同時に「アクトビラ」を利用することができる。
2008年12月から「アクトビラ」で「NHKオンデマンド」がスタート。IPTVでは劇場用映画と共にTV番組が重要なコンテンツとされている。

アップルの製品・サービス5分野で対抗しているのはソニーとマイクロソフト

アップルの製品・サービス5分野の対抗製品・サービスに関し以下の15企業を調査した。最も競合している製品は13企業の「iPod」、12企業の「iPhone」。5分野すべてで対抗しているのは、ソニーとマイクロソフトである。パナソニックと東芝は携帯プレーヤーから事実上撤退状況にあり、日本の携帯プレーヤーはアップルとソニーの2強体制が固定化しつつある。また、日本の音楽配信は携帯電話向けで占められていることから、キャリアと端末メーカーが大きな対抗勢力となる。

アップルの製品・サービス5分野で対抗しているのはソニーとマイクロソフト

アップルの製品・サービス5分野の対抗製品・サービスに関し以下の15企業を調査した。最も競合している製品は13企業の「iPod」、12企業の「iPhone」。5分野すべてで対抗しているのは、ソニーとマイクロソフトである。パナソニックと東芝は携帯プレーヤーから事実上撤退状況にあり、日本の携帯プレーヤーはアップルとソニーの2強体制が固定化しつつある。また、日本の音楽配信は携帯電話向けで占められていることから、キャリアと端末メーカーが大きな対抗勢力となる。

【図2】Appleの製品分野別対抗企業

携帯プレーヤーはアップルとソニーの2強体制が確立。音楽配信はレーベルゲートが携帯キャリアと提携しアップル包囲網を構築中

アップルの国内シェアは57%、2位はソニーで30%程度

【図3】Appleのシェア:携帯プレーヤー(2008年見込み)

2004年まで、国内の携帯プレーヤーは海外の専業メーカーやパソコン周辺機器を扱う企業の独壇場であった。しかし、「iPod」の参入により多くの一般ユーザーを引き付けたことから、2005年には大手家電メーカーの参入・再参入し、それにより既存メーカーは相次いで撤退・倒産に追い込まれ、2007年にはアップルに続いてソニーや東芝などのシェアが拡大した。2008年、アップルの国内シェアは57%と予測される。2位には30%程度でソニーが続いており、残りの10%強を東芝やパナソニック、アイリバーなど10社程度で分け合っている。東芝とパナソニックは、2008年春以降は新製品を投入しておらず、事実上の撤退状況にある。

音楽配信はレーベルゲートが携帯キャリアと提携しアップル包囲網を構築中

【図4】Appleのシェア:音楽配信(2008年見込み)

国内の音楽配信は携帯電話向が圧倒的に多く、日本版「iTunes Store」は苦戦しているといえる。
携帯電話向けの音楽配信が約80%を占めており、パソコン向けでアップルは50%を占めていても全体では10%程度に止まることになる。現在、各キャリアが携帯電話を聴取端末とする音楽配信サービスを積極的に展開しようとしている。そのほとんどがソニー系のレーベルゲートと提携しており、アップル包囲網が構築されつつある。

<調査概要>

調査対象
アップルのiPhone/iPod/Apple TV/iTunes Store/MacBook Airの5製品・サービスと、それらの製品分野であるスマートフォン/携帯プレーヤー/IPTVサービス/音楽配信/ワンスピンドルノートパソコンの製品・サービスを発売・提供している下記の15企業。
1. 携帯電話キャリア :KDDI/ドコモ/ソフトバンク/イー・モバイル/ウィルコム 5社
2. 携帯電話端末メーカー :RIM/HTC/SonyEricsson 3社
3. 家電メーカー :ソニー/東芝/パナソニック 3社
4. 携帯プレーヤー :アイリバー 1社
5. パソコン関連企業 :Microsoft/ASUS 2社
6. 音楽配信 :レーベルゲート 1社
    全15社
調査方法
直接訪問取材及び電話取材/オープンデータ調査
調査期間
2008年 9月24日〜12月10日
本件に関するお問合せ先
株式会社シード・プランニング
〒113-0034
東京都文京区湯島3-19-11 湯島ファーストビル4F
TEL : 03-3835-9211(代) / FAX : 03-3831-0495
E-mail : info@seedplanning.co.jp
担当 : 原(はら)