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デジタルシネマ市場と将来展望を調査
2011年には国内DLPシネマ(TM)プロジェクター普及は900台に
調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(東京・台東 梅田佳夫社長)は、デジタルシネマの市場動向調査を実施し、調査研究レポート「デジタルシネマビジネスの市場動向と将来展望 2005年版」(2005年6月発刊)にまとめた。
「Mr. インクレディブル」や「ハウルの動く城」のロングランによりデジタル上映の「画質の恒久性」が発揮され、またハリウッド制作会社が参加するDCI(Digital Cinema Initiatives, LLC)によってデジタルシネマ仕様案も策定された。このような状況を踏まえデジタルシネマビジネスの現状と2011年までの展望を調査予測した。
各映画製作過程におけるデジタル化
デジタルシネマの定義に関しては統一した見解がなく、本調査レポートでは「撮影、編集、配給、上映に至る映画製作過程の中でデジタル化が伴うもの」と位置付けている。国内の各映画製作過程におけるデジタル化の状況は調査時点で、後処理(編集)過程で最も進んでおり、ほぼ100%に達する。撮影は約半数であるが、上映は映画上映全体の2%程度にとどまっていると推定される。
撮影のデジタル化 | 後処理のデジタル化 | 上映のデジタル化 |
---|---|---|
50%程度 | ほぼ100% | 2%程度 |
DLPシネマ(TM)プロジェクター国内普及予測
デジタル上映プロジェクターにはDLPシネマ(TM)プロジェクター、DLP(TM)プロジェクター、液晶プロジェクターの3種類がある。本調査レポートでは、国内上映スクリーン数予測やヒアリング結果などをもとに、国内におけるDLPシネマ(TM)プロジェクターの普及を予測した。
映画上映に特化し、2000年に国内で初めて投入されたDLPシネマ(TM)プロジェクターは、導入から4年経った2005年5月末時点で38台、全国約2,800スクリーンに占める割合は1.4%である。今後新設シネコンに最低1台の投入が図られ、2007年頃までに上映機器の低価格化が進むことで上映館への投入が加速化され、2011年にはDLPシネマ(TM)プロジェクター普及台数が900台に達すると予測した。これは2011年時点におけるシネコンスクリーン数の3割以上に相当する数であると見込んでいる。
デジタル上映の現状と課題
本調査で抽出された、デジタルシネマの各制作・配給・上映工程における現状の課題と今後の展望は以下の通りである。
工程 | 現状の課題 |
今後の展望 |
---|---|---|
制作 | ・カメラの主流はHDで、4Kカメラは現実性をおびていない ・デジタル化により制作コストを削減できたケースは多くない ・後処理コストが増加 |
・デジタル制作に造詣の深い専門化の育成が必須となる |
配給 | ・現在、配給コストは軽減されていない、逆に負担増 | ・近い将来、衛星や有線が主流な配給手段となる |
上映 | ・DLPシネマプロジェクターの導入率は1.4% ・一般ユーザーにとって画質面での魅力は乏しい |
・3年以内にはDLPシネマプロジェクターの価格がフィルム映写機並みに下落する ・シネコンの淘汰が進むと同時に、シネコン率の上昇も続き、新設シネコンを中心にデジタル化される |
<調査概要>
- 調査対象
- デジタルシネマ市場に参入している国内企業、国外企業(カメラメーカー、サーバーメーカー、プロジェクターメーカー、伝送システム会社、制作会社、配給・興行会社)及び関連団体21社にヒアリング。その他デジタルシネマビジネスに関連する企業・団体計50社以上の個票を掲示。
- 調査項目
- 上映館、上映作品、使用しているカメラおよび上映機器、配給・伝送形態、デジタルシネマに対する評価、市場の将来展望、シネアドの状況など
- 調査期間
- 2005年3月〜5月
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