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分子イメージングが医薬品開発に与えるインパクトを調査
医薬品開発が大幅に効率化!!⇒国内年間総臨床開発費用の約450億円が削減可能!?
調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(東京・台東 梅田佳夫社長)は、分子イメージングを利用した医薬品開発に関する調査を実施し、調査研究レポート「分子イメージングを利用した医薬品開発の将来展望」(2006年9月発刊)にまとめた。
株式会社シード・プランニングでは、医療・医薬、バイオに関する市場調査を継続的に行っているが、このほど医学/薬学を中心とした各分野で注目されているPETやSPECT、MRIなどを用い、ヒトや動物を生きたまま生体内の分子レベルの挙動を非侵襲的に画像化する技術「分子イメージング」に関し、医薬品開発への活用するという視点でレポートを作成した。また医薬品開発におけるフェーズI試験の前に、早期開発意思決定の為に行う「マイクロドーズ試験」についても併せて調査を行った。
本調査は分子イメージング/マイクロドーズ試験に関する研究機関を中心に、機器メーカーや関連ベンチャー企業、製薬企業を対象とし、ヒアリングによる調査を行った。また、国内主要製薬企業29社にはアンケート調査を実施し、15社より回答を得た。分子イメージング/マイクロドーズ試験の現状と今後の展望、課題についてまとめた。
本調査の結果のポイントは以下の通りである。
分子イメージング/マイクロドーズ試験の活用により医薬品開発が大幅に効率化
分子イメージングにより、脳内受容体占拠率など今までまったく得られなかった、もしくは得ることが非常に難しかったデータを得られる。これを薬物動態試験や薬効/薬理試験、安全性試験の評価に利用し、より精度の高い医薬品開発を行うことが出来る。既に製薬最大手のファイザーでは臨床試験にPETを利用した薬効試験を導入することによって、抗がん剤などの効率的な開発を行っている。
また分子イメージング/マイクロドーズ試験により「開発価値のない化合物をより高い精度で見極め、早期に開発を中止する」ことで、初期における開発中止化合物数は増加するが、開発を進めていれば必要だった臨床開発費用を削減することができる。本レポートでは国内製薬企業における現在の年間総臨床開発費3,000億円(シード・プランニング推定)の内、約450億円が削減可能であると試算した。削減された費用や開発期間、開発に携わった人員で、新たな候補化合物の開発が可能となり、より効率的な医薬品開発を行うことが出来る。
分子イメージング−欧米大手製薬企業は標準手法、国内は官学が主導、産はこれから
欧米製薬企業各社は、既に自社内にイメージングセンターを設立し、臨床用のPETなどを自社のフェーズI ユニットに導入している企業もある。また欧米トップ10の製薬企業のほぼ全てが、実験動物用PETやMRIなどを導入しており、分子イメージングが医薬品開発に積極的に利用されている。
一方、国内は国家プロジェクトや学会など学術界が研究の中心となっている。2005年には文部科学省の「分子イメージング研究プロジェクト」が始動、厚生労働省と経済産業省では共同事業として「分子イメージング機器開発プロジェクト/悪性がん等治療支援分子イメージング研究開発プロジェクト」がスタート、2006年5月には「日本分子イメージング学会」が発足した。複数の国内製薬企業は臨床試験に公的研究機関と共同研究という形でPETなどを利用しているが、本格的な分子イメージングの利用はこれからと言える。
しかしながら、PET臨床試験を専門的に受託するCRO「株式会社マイクロン」や、PETやX線CTなどを用いた前臨床試験を受託する「株式会社ベイ・バイオ・イメージング」など、国内でも分子イメージングに関するベンチャー企業が数社立ち上がっており、今後の動向が注目される。
国内製薬企業は分子イメージング技術としてPETに期待、しかし10年後の主役はMRIか
製薬企業アンケートによると、動物試験において既にPETを使用しデータ収集をしている企業は6社(43%)あり、また11社(79%)は、今後PETがイメージング技術として重要となると回答し(図1)、製薬企業がPETに注目/期待していることがわかった。
一方、MRIはPETを利用する場合に課題となるRI(放射性同位体)の利用や半減期の制限がなく、しかもMRS(MRスペクトロスコピー)という手法を利用すれば、対象化合物やその代謝物の定量ができる。現在、動物試験においてMRIを用いてデータ収集行っている企業は少ないが(2社 14%)、MRIを分子イメージングに利用する為に様々な技術が研究されており、MRIは10年後の分子イメージングの中心になると推測した。
しかしながら、動物試験においてPETやMRIを製薬企業が自社内で利用する為には、機器を含めた多額の設備投資、高度な技術を持った研究者が必要となる。この為、当面はPETやMRIなどを利用した受託試験企業へ試験を委託することになると考えられる。
マイクロドーズ試験は、抗がん剤や脳神経疾患治療薬を中心に3年後にも国内で実施
マイクロドーズ試験実施に関するガイドラインは2003年にヨーロッパ、2006年1月に米国で発表されており、大手欧米製薬企業の大半は既にマイクロドーズ試験を実施している。国内製薬企業ではガイドラインが整備されていないこともあり実施している企業はまだほとんどない。
アンケートによると、国内では1社がマイクロドーズ試験を既に実施しており、4社が3年以内に実施予定と回答した(実施場所は国内外を問わず)。国内におけるマイクロドーズ試験実施ガイドラインの提示時期は、11社(73%)の企業が3〜5年以内に提示されると回答した(図2)。
ヒアリング調査などから考えると3年後には、抗がん剤や脳神経疾患治療薬を中心に国内で実施される可能性が大きく、製薬企業はマイクロドーズ試験も意識した前臨床試験を進めていく必要があると思われる。
<調査概要>
- 調査対象
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- (1) 分子イメージング関連研究機関・・・・・14機関
- (2) 分子イメージング関連機器メーカー・・・・11社
- (3) 分子イメージング関連ベンチャー企業・・・8社
- (4) マイクロドーズ試験関連企業・・・・・・・・・・3社
- (5) 製薬企業/受託試験企業・・・・・・・・・・・・18社
- 調査方法
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- (1) 対面ヒアリング調査・・・・・・・・・・・・・15社、3大学、1財団
- (2) メール・FAXによるアンケート調査・・・・・・・・・・・・・・15社
- (3) 当社所有の既存データ・オープン情報による調査・・13社
- 調査項目
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- (1) 分子イメージング技術(PET/SPECT/MRI/X線CT/蛍光)の特徴と課題
- (2) 各実験動物用機器メーカーの動向や販売している機器の特徴
- (3) 欧米製薬企業/国内製薬企業の分子イメージング/マイクロドーズ試験を利用した医薬品の動向
- (4) 国内主要研究機関の研究内容、国家プロジェクトの概要など
- 調査期間
- 2006月4月〜8月
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